「トライク」という乗り物があります。

バイクの後輪(車両によっては前輪の場合も)を2輪化した乗り物で、車両法では側車付二輪となりますが、サイドカーと呼ばれる乗り物とは別モノです。

その性質上とても高価な乗り物になってしまうのですが、安価で購入できる車両もあります。大半が中国で生産されたバイクをベースに、中国で生産されたトライクキットを使用することで低価格化したもの・・・

いわゆる「中華トライク」と呼ばれるものです。

私はその中華トライクに、10年以上乗り続けています。今回はそんな「中華トライク」について、思いを巡らせながら垂れ流してみたいと思います。

中華トライク

とにかく良い話を聞く事のない中華トライク。

「さほど乗らないうちに、まとも動かなくなった」「走行中に大事な部分が破損」「納車されて即廃車」等々・・・

そういう話は枚挙にいとまがありません。

「安易に手を出すべきではない」

というのが正常な評価だと思います。長年乗っている私も、そう思います。

3wheelsmagazine

こちらに「3 Wheels Magazine」という雑誌があります。2010年に発売されたものですが、「3輪専門の雑誌が発売された」というのは衝撃でした。

この3 Wheels Magazineでも、中国製トライクに関しては「故障は当たり前。命を預けるなんてもってのほか。正規モノの販売定価より安いトライクがあるはずもない」とされています。

当時これを読んだ私は思いました。果たしてそうだろうか?と。

たしかに「素人レベルの知識と技術しか持たず、ボルトの1本も回さないような人間」が、安全に長期間乗れる中華トライクは存在しないと思います。

しかし。

本当にこういった乗り物が好きで、マメに点検と整備を欠かさず、不具合を試行錯誤して乗り越える事が楽しい・・・と思える人間にとっては「命を預ける事ができ、正規モノの販売低下より安いトライク」は存在します。

現に、私は無事故で同じ車両に10年以上乗り続ける事ができています。

ちなみにこちらの3 Wheels Magazine、「トライクを専門的に特集している」という点では非常に楽しく眺める事ができたのですが、記事としては低レベルな文章が多く、疑問に思う部分も多々見受けられました。

それ以外に3 Wheelers Bibleという書籍も存在します。

三輪書籍

買う側と売る側

中華トライクには大型車両はほぼ存在せず、小型~中型が主流です。この排気量帯には車検がありません。

そして非常に安価で、国産の中型二輪車よりも安い価格で中型二輪ベースのトライクが購入できます。

それゆえ「ノーヘルで注目を浴びて走りたい」と安易に考える人間にとっては非常に魅力的な車両に感じます。

私が中国製トライクの販売側に関わっていた頃にも、そういったお客様は多く存在しました。とにかく「目立ちたい」だけで購入してしまうのです。

中華トライクはとにかく「普通に乗り続けられる」という事に対してのハードルが、国産の車やバイクとは大きく違います。

そういった市販の車両のように「長く乗っていれば故障する事もある」といったレベルではありません。「故障と不具合は当たり前。乗り続けるには努力と工夫が必要」な乗り物です。

この点は売り手にも問題があるのですが、さすがに「安心して長くは乗れません。不具合との闘いです」と言ってしまっては売れませんので・・・(笑)あまり賛同できませんが、ある程度は仕方のない部分ではあると思います。

異端児

基本的に中華トライクオーナーは、孤独との闘いです。

近所に相談に乗ってくれるバイクショップなどが見つかれば良いのですが、大半のお店は中国製トライクを嫌います。持ち込み修理なども断られる場合があります。

私の場合、まだ素人レベルの頃から頼れるショップはありませんでした。全て自分で調べ、試行錯誤し、失敗しながら学びました。

そして生粋のバイク乗りの方からも、トライクは嫌われがちな乗り物です。

これに関しては「トライクだぜ!ノーヘルだぜ!」と目立ちたがる一部のトライクオーナーがイメージを悪くしている気もするのですが・・・価値観は人それぞれなので仕方がありません。

大型のGLトライク、ハーレートライクなどであればまた別なのかもしれませんが、中華トライクはとにかくイメージが悪いです。

「中華トライクなんぞに乗っているヤツの気が知れない」

そういう意見はごもっともだと思います。

ただ、私自身が持っている「不具合や故障も含めたうえで、中華トライクが楽しい」という思いまで否定しないで欲しい・・・とだけ願います。

安全性への配慮

私は以前、とあるSNS系サービスで中華トライクのコミュニティを運営していました。

中には「目立ちたいだけ」で購入した方もいましたが、私のように「ダメな子ほど可愛い」という気持ちで乗り続けている方も、少ないながら存在する事を知りました。

そういう方たちにとって中華トライクは「粗悪な乗り物」ではなく「試行錯誤して遊ぶ玩具」でした。

もちろん、車室もシートベルトも無いむき出し状態で走行する乗り物ですので、愚かな遊びである事は私も十分承知しています。ノーヘルとなればなおさらです(私はヘルメット着用派です)。

最悪の場合は周囲に迷惑をかける事にもなります。

「そんな危険な乗り物で公道を走らないでくれ」

と言われてしまえば、返す言葉が見つかりません。

「事故っても自己責任だから」なんて身勝手な考えで済む話ではありません。どんな乗り物であれ運転を誤れば危険が伴いますが、中華トライクは「その車両自体」に危険を孕んでいる事は事実です。

安全性、というのは自分の身を守るためだけではなく、周囲への配慮でもあると思います。

それゆえに、走行前には毎回各部を点検し、走行中も神経質なほど車両の状態を気にしながら乗っています。

前述しましたが、私はヘルメット着用派です。

もちろん頭部保護の目的もありますが、それよりも単純に「限りなくバイクに近い形状の車両に、ノーヘルで乗っている姿はとてもカッコ悪い」と感じるからです。

私が乗っているのはクルーザータイプのトライク。いわゆるアメリカンと呼ばれる形です。

乗車時の服装やヘルメットも含めて、全体的なルックスが大事だと考えていますので・・・ラフな服装でノーヘル、という乗り方はしたくありません。ただし、これは私個人の価値観ですので、全てのトライク乗りの方にヘルメット着用を強制したいわけではありません。

終わりに

ダラダラと個人的な見解を垂れ流してしまいましたが、そのくらい多くの事を考えたうえで乗り続けている、という事が伝われば幸いです。

こちらが現在私が乗っている中華トライクです。10年を越えました。

LF250T

ベース車両はYAMAHAビラーゴのコピー品、中国LIFAN社製のLF250。

当時は中華トライクとして数多く出回っていた形ですが、現在は販売されているのを見る事はなくなりました。

かなり独自カスタムしているので原型が無くなっていますが、もし同型のトライクにまだ乗っている方がいれば、ぜひお話をしてみたいです。

中華トライクについて考える” に対して12件のコメントがあります。

  1. なおと より:

    初めまして。
    自分もスプリンガータイプのエンジン(リーファン?)中華トライク(アメリカン)を所有しております!

    不動車の頂き物なのですが先日やっとエンジンがかかるようになりました

    これからも大事にして行きたいのですが部品やらパーツ
    が中華製ばかりで苦労しています…

    質問ばかりになってしまうかもしれませんがこれからも宜しくお願いいたします。

    1. ゴン より:

      コメントありがとうございます。
      スプリンガータイプ!懐かしいです。リアはノーサスでホーシングのタイプですか?それとも後期型の独立懸架でしょうか。
      不動車からエンジン始動までこぎつけたのはすごいですね。
      苦労しながらも大事に安全に乗っていけることをお祈りしています。

      もし疑問などがあればお気軽に質問してみてください。些細な知識ではありますが、お役に立てることがあるかもしれませんので…。
      トライク関係の話はまるで更新していませんが、同志として今後ともよろしくお願い致します。

      1. なおと より:

        こんにちは!

        リアはノーサスタイプなので初期型ですかね?

        この手のスプリンガーは乗れたもんじゃないと目にしますが…
        フロントフォーク、ステムなど何か流用出来ないか調べているのですが全く分かりません(汗)

        1. ゴン より:

          コメントありがとうございます。
          おお、鬼のノーサス。リアタイヤサイズのせいもあって、けっこう腰にきますよね(笑)

          フロント……おそらく何かは合うと思いますが、「コレが互換性あるよ!」と明確にはわかりません。申し訳ない…。
          フロントステム(トリプルツリー)の「径」と「長さ」をキッチリ測って、同サイズのものさえ見つかればイケるはずです。そのあたりはかなりお値段が高いですけど…(汗)

  2. みや より:

    こんにちは!
    つい最近夢だった中華ズーマートライク(GY6エンジン150cc)の程度が良いがあったので購入して日々の足として趣味の玩具として楽しんでいくつもりです!

    まず色々と始動が悪かったりエンスト問題と大変で、国産バッテリー・中華レギュレーター・中華CDI・国産プラグコード・国産プラグ・マフラー(負圧に影響しない程度の抜け)とこれで起動準備okみたいな面白い乗り物ですね笑

    他にも金属製エキパイに交換したり狂っている燃調を合わせていく予定なのでまともに乗れるまで試行錯誤の日々が続きそうです

    これから宜しくお願いします!!

    1. ゴン より:

      コメントありがとうございます。
      おおっ、中華ズーマートライクですかっ!羨ましいっ!
      今になって「販売していた頃に一台確保しておけば良かった…」と後悔している乗り物です。
      アレコレとイジりやすく『大きな玩具感』があって楽しいですよねぇ。当たり外れが激しい車両なのに、程度が良いものを見つけられたとはなんとも羨ましい。
      試行錯誤を重ねて最高の相棒になることを祈っています。

      こちらこそ、今後ともどうぞ宜しくお願い致しますっ。

      1. みや より:

        返信ありがとうございます!
        色々乗りこなしてきた主と違ってトライク歴たったの2ヶ月ですけど頑張っていきたいと思います!

        今安全の為にクリアジェットヘルメット・フォグランプ追加・大きめクリア防風・自分が運転しやすいハンドルに変更・ハンドルのブレを踏ん張り制御しやすいようにステップボードへ変更・大きめ反射板の追加とここまでやったのですが、自分の意識ではどうすることも出来ないものを補う何かオススメのアイテム(例えばステダン等)とかあるでしょうか?

        トライク歴10年の意見を聞いてみたいです!!

        1. ゴン より:

          返信ありがとうございます。
          しっかり安全の事を考えてのカスタム、とても素晴らしいと思います。
          もう私なんぞが余計な口出しするまでもないです(笑)

          あくまでも私個人の見解ですが、ステダンは激しくオススメしません。
          ズーマートライクはフロントフォークが立っているのでブレが気になるかもしれませんが、一般的なステダン(油圧抵抗でハンドルが重くなるもの)をつけると『車体を倒せずハンドルだけで曲がる』というトライクにとって相性が悪く、低速時の小回りにも影響しますので…。

          その他アレコレ書くと長くなりすぎるので、このくらいで。何かあればいつでもお気軽にコメント等下さい。
          みやサンのズーマートライク、ぜひ一度見せていただきたいですなぁ。

  3. みや より:

    安全運転で流れに乗るのが1番カッコいいので笑

    ステダンの詳しい説明ありがとうございます!デメリットばかりが目立ちそうなのでバーウェイト等で軽減策を考えていきたいと思います!

    画像がup出来れば全然見せられるんですけどねもしくはSNSとかですね、しかし主のトライクのイケメン具合には敵いませんよ!

    1. ゴン より:

      本当、そう思います。
      「トライクだぜ!ノーヘルだぜ!うぇーい!!」と誇らしげに乗っているアホウがいるから、安全を考慮したうえで楽しんでいる者まで『トライク乗り=低脳』みたいな風潮があるんですよねぇ…。

      みやさんのズーマートライクはロンスイ(ロングスイングアーム)仕様のタイプですか?ノーマル長?

      ウチのはもうイジるとこがなくなってしまい、ただただ日々の足として乗っているだけですが…お話を聞いているうちにまたカスタムしたくなってきました。
      なにかこう「まさに変態的!」といったアイデアを練らねば…。

      1. みや より:

        一般的な中華ズーマーなのでノーマル長です、ロンスイかっこいいんですけど更に曲がれなくなるのがですね

        カスタムは収納と見た目にこだわりがあってサイドバッグや大きめのアンティークレザーケース(横60*高40*幅20)とか付けていたりカワイイ系のステッカーとかゴテゴテしたのが好きですw

        タンデムと収納の両立とか難しいですよね

        1. ゴン より:

          タンデムと収納の両立!
          ホント、そこは悩みどころですよねぇ。
          私は数年前の大幅カスタム時に収納を優先してリアシートを捨てました(笑)

          最近仕事が忙しく、返信が遅い上にまるで更新もなくて申し訳ないです。
          朝から晩まで中華トライクイジりに情熱を燃やしていたあの頃が懐かしい…。

ゴン へ返信する コメントをキャンセル

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です